全摘術と乳房温存術を使い分け 再発リスクと外見を考慮 乳がん編 (日本経済新聞1/5)

 乳がんは女性のがんで最も患者数が多く、新規患者数は年間約4万人に上る。日本経済新聞社が「日経メディカル」誌の協力を得て実施した「日経実力病院調査」で症例数が多かった病院では、薬物療法を活用しつつ、再発リスクと術後の外見を考慮しながら、乳房をすべて切除する「全摘術」か、切除をがん周辺にとどめる「乳房温存術」か判断する傾向が見られた。その結果、温存術が急速に普及したため減っていた全摘術を選ぶケースも増えている。

 今回の調査で2010年7月から11年3月に「手術あり」の症例が874例と全国最多だったがん研有明病院(東京・江東)は、乳房温存術が最も多かった06年ごろは全摘術が3割程度まで低下したが、現在は4割程度。岩瀬拓士乳腺センター長は「無理な温存術では再発の危険性も高まるし、美容的に満足できないこともある。こうしたことを避けて全摘+再建を選択する人が増えた」という。

 全摘して乳房を再建する場合、同病院は手術の際に筋肉の下にエキスパンダー(組織拡張器)を入れる同時再建を主に採用。術後に数週間かけて徐々に膨らませて皮膚を伸ばしてシリコンなどに入れ替え、「筋肉など自分の体の一部を使う再建より身体の負担は少ない」(岩瀬センター長)。ただ病気の進行度によっては治療が一段落してからの再建手術を勧めるという。

 乳がんはがんかどうか見極める病理診断も難しく、病理部門も充実している同病院には、診断と治療法の意見を求めるセカンドオピニオンの利用も多い。同病院で治療を希望する患者も多いが現在、初診日から手術まで1~2カ月かかる。同病院は緩和ケア病棟も病床数が足りない状況で受け入れには限界がある。

 「乳がん専門医がいる医療機関ならば治療レベルは変わらない」と岩瀬センター長。遠方からの治療依頼には「セカンドオピニオンで診断と治療法が同じなら、無理なく通院できる地元施設での治療を勧める」。

 厚生労働省が指定するがん拠点病院以外で症例数が最多なのは相良病院(鹿児島市)で451例。女性のための専門病院として、検診から術後の薬物治療、緩和ケアまで一貫した医療体制を備えるのが特徴だ。

 温存術の割合は7割を上回るが、相良吉昭理事長は「外見をきれいに保てなければ温存する意味がなく、切除して再建した方がいい場合も多い」と、やはり温存術にこだわらない。約5~10%あるとされる遺伝性乳がんの場合は、がんが小さくても再発の危険が高いため全摘することもある。

 再発を抑えるためにリンパ節全体を切除すると、1~2割程度の患者はひどいむくみなどリンパ浮腫の後遺症に苦しむ。同病院では切除するか判断するため、術中にリンパ節への転移を調べる「センチネルリンパ節生検」を保険が適用される前の2000年から導入。昨年は77%で実施、後遺症を少なくするとともに再発率も1%を下回った。

 診断も難しいがマンモグラフィーの読影認定医は不足している。読影を1カ所に集め診断精度を高める目的で厚労省が06年度と08年度に実施した遠隔診断支援モデル事業で、同病院は県内4施設から乳がんを見分ける依頼を受けた。2人の読影認定医で1日約200人分の画像を診断。「的確な診断が不可欠」と話す。

 粒子線治療など「切らずに治す治療」も一部で行われている。だが「粒子線治療でも腫瘍と周りのわずかな乳腺にしか照射できない」(相良理事長)といい、日本乳癌学会の診療ガイドラインは、当てない乳腺が残ると再発率が3倍高まると示している。

 

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  1. surviver より:

    今は、がんは珍しくない時代と言われますが…
    患者本人にとっては、とても辛い事実であると思います。
    病院選びも、様々な条件が絡み難しいコトもあります。
    読影力の優れた技師がどこの病院にも居たら、早期発見率も
    高まるのでは。その後の治療等に優れた医師も重要ですが‼
    『癌』が風邪みたいに普通に治せる世の中になって欲しいです。

    • life より:

      surviverさんより : コメントありがとうございます。

      私は、私が生まれる50年前に父を末期の癌でなくしました。
      母からその当時の話を聞くと、当時の癌は今のようにメジャーな病気ではありませんでした。
      その当時の医療技術や機材・器具は、今と比べると粗末なもので抗がん剤の注射は保険がきかず、べらぼうに高かったそうです。結局看病の甲斐もなく、父は数ヶ月でなくなったそうです。

      しかし、今は昔と違って医療技術も進歩し、また医療機材や器具は優れて進歩しています。
      ただ、残念なことに、すべての医師や病院の設備が必ずしも優れているとは限りません。
      諦めることなく前向きに、自分自身をひたすら信じ、癌と向き合うことだと思います。
      surviverさんがより早く完治できるようこれからもずっと応援しますので頑張ってください。

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